教室の風景にみる文化―日本、アメリカ、デンマーク
学校の教室は、国が違っても共通する部分はかなり多い。正面に黒板があって、児童生徒一人一人に割り当てられた机と椅子が並んでいるのが一般的な教室空間である。(そうでないかたちに変革した試みも多いが、そうした例については別の機会に述べたい。)しかし、それでも全体から受ける印象はずいぶん異なる。建築や家具の形態、素材、色調からくる違いはもちろんあるが、それよりも教材や掲示物、教室内にもちこまれる物品や、それらが発するメッセージによる違いは特に大きい。
筆者はこれまで日本、アメリカ、デンマークの学校を建築計画の調査のために訪問してきたが、そのたびに教室の雰囲気からその社会・文化の違いを強く感じてきた。ここでは、このような観点から教室の風景を紹介したいと思う。