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シックハウス問題について

新築の建物やリニューアル直後の建物において、その建物を利用する人が「目がチカチカする」「めまいや吐き気がする」などの体調不良を訴えることがあります。このような症状は「シックハウス症候群」と呼ばれており、建物や内装・設備、家具・什器・備品、日用品、タバコなど、さまざまなものから放散される化学物質もその原因の一つと考えられています。
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文部科学省では、学校環境でのシックハウス問題を防ぐため、学校環境衛生の基準を改訂しています。この中で、ホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物の空気中濃度に判定基準を定め(平成16年2月10日現在6物質)、必要に応じて検査によりこれを下回ることを確認することが求めています。
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一方、国土交通省では、建築基準法を改正し、居室内における化学物質発散に対する措置を求めています。(平成15年7月1日施行)特に内装仕上げ材や下地材については、ホルムアルデヒド放散量に応じて等級を定め、それに応じて使用制限されています。
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ここで、一つの矛盾が生じています。現在、学習環境を構成するモノ(家具・什器・備品、日用品など)それぞれの具体的な達成基準が設けられていません。具体的に達成基準がないということは、○or×の判断がつかないということです。そのため、家具・什器の分野では(社)日本オフィス家具協会が、シックハウス問題の解決に向けてモノの使用材料の情報開示ルール作りを行いました。このルールにより、学校側は使用材料を比較検討しながら、よりリスクの少ない家具を選んでいただくことが可能となりました。しかし、室内中化物質濃度は、建物や内装・設備、家具・什器、日用品、タバコ、温度・湿度など多くの影響を受けるため、家具・什器だけではなく、実際の室内全体の濃度が適切に保たれているかを測定し確認することが重要となります。また、化学物質を完全に取り除くことは困難ですので、換気の実施等の日常の運用がとても大切になります。(学校環境衛生の基準では、換気についても基準が定められています。)
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地震災害や犯罪の問題なども同様で、リスクに対する考え方が大切になっています。リスクは、完全に排除できない特徴があるため、低減させるために効果的な方法を選び、継続的に改善に努めることが必要です。リスクコミュニケーションという言葉もありますが、マイナス面についても積極的に情報交換を行い、より良い選択をしていくことが望まれます。


【参考文献】
JOIFA室内空気質汚染対策ガイドライン 2004.9 (社)日本オフィス家具協会
内装施工VOC対策マニュアル 2004.9 (社)日本オフィス家具協会
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